東京高等裁判所 平成9年(行ケ)92号 判決 1998年9月22日
東京都港区虎ノ門二丁目5番5号
原告
石川ガスケット株式会社
代表者代表取締役
石川伸一郎
訴訟代理人弁理士
小川信一
同
野口賢照
東京都千代田区霞が関三丁目4番3号
被告
特許庁長官
伊佐山建志
指定代理人
本郷徹
同
田中弘満
同
鈴木泰彦
同
廣田米男
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第1 原告が求める裁判
「特許庁が平成5年審判第24040号事件について平成9年3月21日にした審決を取り消す。」との判決
第2 原告の主張
1 特許庁における手続の経緯
原告は、平成2年10月11日、考案の名称を「シリンダヘッド用金属積層形ガスケット」とする考案(以下「本願考案」という。)について実用新案登録出願(平成2年実用新案登録願第106817号。なお、1989年(平成元年)12月12日にアメリカ合衆国においてした特許出願に基づく優先権を主張)をしたが、平成5年11月30日に拒絶査定がされたので、同年12月27日に拒絶査定不服の審判を請求し、平成5年審判第24040号事件として審理された結果、平成9年3月21日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決を受け、同年4月5日にその謄本の送達を受けた。
2 本願考案の実用新案登録請求の範囲(別紙図面A参照)
上板、下板および中板によって構成したガスケット本体の中板にシリンダ穴を取り囲むビード等突条を設け、上板又は下板を折返して設けたシリンダ穴折返し部より外側にして液体シール用の被膜層を設け、この被膜層がガスケット本体の中板等の構成板間に層設されるようにしたシリンダヘッド用金属積層形ガスケット。
3 審決の理由の要点
(1) 本願発明の要旨は、前項のとおりと認める。
(2) これに対して、昭和60年実用新案登録願第159283号(昭和62年実用新案出願公開第68071号)の願書添付の明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(以下「引用例」という。別紙図面B参照)には、
「金属薄板により造られた芯材12には、シリンダブロックのシリンダ頂部の開口形状に合せたボア孔2と水や油を流通させるための透孔4とが穿設され、各孔2、4の周囲にそれぞれ環状の突条13、14を形成している。ボア孔2の内周縁部には従来のメタルシリンダヘッドガスケットの場合と同様、金属薄板を断面U字形に折り返したグロメット5が装着されている。又、芯材12の表裏両面でグロメット5から外れた部分には、金属薄板製の芯材12と反対側の面に焼付けによるゴム層15をそれぞれ形成した表面材16、16を積層している。」(8頁12行ないし9頁3行)
「ゴム層15を第2図に示した第二実施例のように、各表面材16、16の両面に形成すれば、透孔4内を流通する水や油が各表面材16、16と芯材12との間を通じて漏出する、所謂層間漏れを防止できる。」(9頁16行ないし20行)
との記載があり、第2図からはグロメット5と表面材16(上側及び下側)とが別体であることが窺える。結局、引用例には、
「表面材16(上側)、表面材16(下側)及び芯材12によって構成したガスケット本体の芯材12にシリンダ穴を取り囲むビード等突条13を設け、金属薄板を断面U字形に折り返したグロメット5より外側にして液体シール用のゴム層15を設け、このゴム層15がガスケット本体の芯材12等の構成板間に層設されるようにしたシリンダヘッド用金属積層形ガスケット」
が記載されていることになる。
(3) 本願考案と引用例記載の考案とを対比すると、本願考案の「上板、下板、中板、突条、シリンダ穴折返し部、被膜層」は、それぞれ引用例記載の考案の「表面材16(上側)、表面材16(下側)、芯材12、突条13、グロメット5、ゴム層15」に相当するから、両者は、
「上板、下板及び中板によって構成したガスケット本体の中板にシリンダ穴を取り囲むビード等突条を設け、シリンダ穴折返し部より外側にして液体シール用の被膜層を設け、この被膜層がガスケット本体の中板等の構成板間に層設されるようにしたシリンダヘッド用金属積層形ガスケット」である点で一致する。
しかしながら、シリンダ穴折返し部が、本願考案では、上板又は下板を折り返して設けられているのに対し、引用例記載の考案では、表面板16(上側。本願考案における上板に相当する。)及び表面板16(下側。本願考案における下板に相当する。)とは別体のグロメット5である点において両者は相違する。
(4) 相違点について検討すると、引用例には、「グロメット5は各金属薄板6~10と別体とする代りに、表面又は裏面の金属薄板6又は10と一体とする場合も多い。」(3頁17行ないし19行)との記載があり、別体に設けたグロメットを上板又は下板と一体とすることが示唆されているから、当該示唆に基づいて、グロメットを上板又は下板と一体として本願考案のような構成を得ることは、当業者がきわめて容易になし得たものと認められる。
なお、原告は、意見書において、被膜層は中板に施されている旨主張するが、実用新案登録請求の範囲にはその点の記載はない。仮にその点の記載があったとしても、金属積層形ガスケットの中板に被膜層を設けることは、従来周知の事項(例えば、昭和52年実用新案登録願第73989号(昭和54年実用新案出願公開第1710号)の願書添付の明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム、昭和62年実用新案登録願第55050号(昭和63年実用新案出願公開第162167号)の願書添付の明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム等を参照)であり、しかも、被膜層が中板に施されたことにより格別顕著な作用効果が生ずるものとも認め難いから、引用例記載のゴム層15(本願考案の被膜層に相当する。)を、表面板16に設けるのに換えて、芯材12(本願考案の中板に相当する。)に設けることは、当業者がきわめて容易に推考し得たものと認める。それゆえ、原告の上記主張は採用することができない。
(5) したがって、本願考案は、引用例記載の考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法3条2項の規定により、実用新案登録を受けることができない。
4 審決の取消事由
審決は、相違点の判断を誤った結果、本願考案の進歩性を否定したものであって、違法であるから、取り消されるべきである。
(1) 審決は、引用例に、別体に設けたグロメットを上板又は下板と一体とすることが示唆されていることを論拠として、相違点に係る本願考案の構成を得ることは当業者がきわめて容易になし得た旨判断している。
しかしながら、この判断は、本願考案が奏する顕著な作用効果を全く無視してされたものであって、誤りである。
すなわち、本願考案は、明細書に記載されているとおり、「被膜層のシリンダ穴折返し部内の存在によるシリンダ穴折返し部のガスシール機能の低減が生じることもなく、シール性能の優れたシリンダヘッド用金属積層形ガスケットを提供できる」(7頁16行ないし20行)との作用効果を奏するものであるが、これを具体的にいうと、
a シリンダ穴折返し部が、上板又は下板を折り返して形成されているため、シリンダ中の高音燃焼ガスが上板及び下板によって形成される空間(ガスケット本体内)に入り込むことがなく、したがって、高音燃焼ガスが水穴等から逃げることもないので、ガスシールを完全に行うことができる(以下「作用効果a」という。これに反して、引用例記載のガスケットは、別紙図面Bに図示されているように、グロメット5と、上側及び下側の表面部材16、16との間に隙間が存在するので、シリンダ中の高温燃焼ガスは、その隙間を通って上側及び下側の表面部材16、16によって形成される空間(ガスケット本体内)に入り込み、透孔4から冷却水中に混入して冷却能力を低下させる等のエンジントラブルを発生させかねない。)。
b シリンダ穴折返し部が高温燃焼ガスによって高温になっても、シリンダ穴折返し部と上板又は下板が一枚の部材によって形成されているため、熱は、シリンダ穴折返し部から上板又は下板を経由して連続的に水穴へ移動し、冷却水によって冷却され、シリンダ穴折返し部が過熱することを防止できる(以下「作用効果b」という。これに反して、引用例記載のガスケットでは、上記のように、グロメット5よ上側及び下側の表面部材16、16との間に隙間が存在するので、熱の移動が阻害される。)。
c 高温燃焼ガスがガスケット本体内の被膜層を通過しないばかりでなく、上記のように、シリンダ穴折返し部、上板及び下板の冷却がスムーズに行われるため、被膜層の損傷が少なく、シール効果を長期間にわたって維持できる(以下「作用効果c」という。これに反して、引用例記載のガスケットでは、上記の隙間から高温燃焼ガスがガスケット本体内に入り込み、被膜層を加熱して劣化させる。)。
本願考案が奏する以上のような作用効果は、相違点に係る構成を採用したことによって得られるものであるが、相違点に係る構成によって上記のように顕著な作用効果が奏されることは、引用例の記載からは到底予測不可能である。したがって、引用例に、従来技術の説明として「グロメット5は(中略)表面又は裏面の金属薄板6又は10と一体とする場合も多い。」と記載されていることのみを論拠として、相違点に係る本願考案の構成を得ることは当業者ならばきわめて容易であったと判断するのは、誤りといわざるをえないのである。
(2) この点について、被告は、本願考案はシリンダ中の高音燃焼ガスがガスケット本体内に入り込む隙間が存在する構成も排除されていないから、作用効果a及びcに関する原告の主張は本願考案の要旨に基づかないものである旨主張する。しかしながら、本願考案の目的がガスケットにおけるシールの完全化にあることは当然であるから、シリンダ中の高音燃焼ガスがガスケット本体内に入り込む隙間を存在させるはずがないことは、技術常識に属する当然の事項であって、被告の上記主張は失当である。
また、被告は、作用効果bは引用例において示唆されている「グロメットを上板又は下板と一体と」する構成によって奏されるのであるから、当業者ならば当然に予測し得たものにすぎない旨主張する。しかしながら、グロメットは、本来、「ガスケット本体の穴部周囲を覆う、本体とは別の金属環」(JIS D 3105)である。したがって、引用例の記載によって示唆されるのは、ガスケット本体とは別の「グロメット5」と「表面又は裏面の金属薄板6又は10」とを、接合等によって一体化することであって、一枚物である上板又は下板を折り返してグロメットを形成することではない。そして、2つの部材を接合等によって一体化した場合は、その繋ぎ目において熱伝導が不良となるから、被告の上記主張も失当である。
第3 被告の主張
原告の主張1ないし3は認めるが、4(審決の取消事由)は争う。審決の認定判断は正当であって、これを取り消すべき理由はない。
原告は、本願考案が奏する作用効果aないしcは相違点に係る構成を採用したことによって得られるものである旨主張する。
しかしながら、本願考案の実用新案登録請求の範囲においては、上板又は下板のいずれか一方を折り返して形成されるシリンダ穴折返し部と、折り返されない他方の板との関係が限定されていないから、シリンダ中の高音燃焼ガスがガスケット本体内に入り込む隙間が存在する構成も排除されていない。そして、作用効果a及びcは、シリンダ中の高音燃焼ガスがガスケット本体内に入り込むことがない構成によってのみ奏されるのであるから、作用効果a及びcに関する原告の主張は、本願考案の構成に基づかないものであって、失当である。
また、作用効果bは、引用例において示唆されている「別体に設けたグロメットを上板又は下板と一体とする」構成によって奏されるのであるから、当業者ならば当然に予測し得た事項にすぎない。この点について、原告は、引用例の記載によって示唆されるのは、ガスケット本体とは別の「グロメット5」と、「表面又は裏面の金属薄板6又は10」とを、接合等によって一体化することである旨主張する。しかしながら、「一体とする」は、別体として作られたものを一体化する場合のみならず、別体として作ってもよいものを1つの部材から作る場合をも含む概念であるから、原告の上記主張は失当である。ちなみに、シリンダヘッド用ガスケットの表面又は裏面の金属板を折り返してグロメットを形成することは、例えば、昭和61年特許出願公開第160549号公報、昭和62年特許出願公開第261760号公報に記載されているように、本出願前の周知技術にすぎないから、金属薄板が容易に折り曲げ加工し得ることをも考慮すれば、「グロメット5は(中略)表面又は裏面の金属薄板6又は10と一体とする場合も多い」との引用例の記載から、相違点に係る本願考案の構成に想到することは、技術常識として当然の事項というべきである。
理由
第1 原告の主張1(特許庁における手続の経緯)、2(本願考案の実用新案登録請求の範囲)及び3(審決の理由の要点)は、被告も認めるところである。
第2 甲第2号証の1(願書添付の明細書)及び3(平成8年12月25日付手続補正書)によれば、本願考案の概要は次のとおりである(別紙図面A参照)。
(1) 技術的課題(目的)
本願考案は、シリンダヘッド用金属積層形ガスケットに関するものである(明細書1頁16行、17行)。
シリンダ穴と油穴等の液体穴は、エンジンの熱負荷あるいは筒内圧等の要因によってシール環境を異にし、したがって、シリンダブロックとヘッドとの間に介在させるシリンダヘッド用金属積層形ガスケットにおいても、シリンダ穴周囲は該シリンダ穴周囲の環境に適合するように、また、液体穴周囲は該液体穴周囲の環境に適合するように、それぞれシール部を設けている(同1頁19行ないし2頁6行)。
例えば、シリンダ穴周囲と液体穴周囲のシールバランスをとりつつ、両穴をシールする構造のものとして、シリンダ穴周囲に基シリンダ穴を取り囲むビードを設けてシール面圧を生じさせる一方、液体穴周囲にはガスケットを構成する上板等の構成板とは別体のシールリングを配して必要なシール面圧を生じさせ、しかも、シールリングによるシール面圧はビードによるシール面圧より低くするようにしたものがある。しかしながら、この構成のものは、シールリングを準備する必要があるので、誤組が生じてガスケット又はエンジンの欠陥を生ずるおそれがある。また、シールリングを用いず、構成板にNBRゴム等のゴムを被覆した板を配し、シリンダ穴及び液体穴をそれぞれ取り囲むビードを配した積層形ガスケットもある。しかしながら、この構成のものは、シリンダ穴を取り囲むビードにゴムの被覆層があるため、シリンダ穴の高温によって被覆層が劣化し耐久性が劣る欠点があり、したがって、被覆層の素材をフッ素ゴム等の高価な材料としなければならず、コストが高くなる問題点がある(同2頁7行ないし3頁16行)。
本願考案の目的は、従来技術の欠点を除去し、簡単な構造でありながら、シリンダ穴と液体穴をバランスよくシールできるシリンダヘッド用金属積層形ガスケットを提供することである(同3頁17行ないし4頁1行)。
(2) 構成
上記目的を達成するため、本願考案は、その実用新案登録請求の範囲記載の構成を採用したものである(手続補正書3枚目2行ないし6行)。
(3) 作用効果
本願考案によれば、被膜層によって各ガスケット構成板間がシールされ、したがって、液体穴からの液体漏れを未然に防ぐことができる。また、被膜層をシリンダ穴のシール部であるシリンダ穴返し部より外側に配してあるから、液体シールを支障なく行うことができ、被覆層のシリンダ穴折返し部内の存在によるシリンダ穴折返し部のガスシール機能の低減が生ずることもなく、シール機能の優れたシリンダヘッド用金属積層形ガスケットを得ることができる(明細書7頁6行ないし20行)。
第3 そこで、原告主張の審決取消事由の当否について検討する。
1 原告は、本願考案が奏する作用効果aないしcは相違点に係る構成を採用したことによって得られるものである旨主張する。
検討すると、原告主張の作用効果a及びcは、シリンダ中の高温燃焼ガスがガスケット本体内に入り込まないことによって奏されることが明らかであるところ、本願考案の実用新案登録請求の範囲には、上板又は下板のいずれか一方を折り返して形成したシリンダ穴折返し部と、折り返されなかった他方の板との位置関係を限定する記載が存在しない。したがって、本願考案の構成要件であるガスケット本体は、別紙図面Aの第2図あるいは第4図に図示されているような、上板と下板とが一部重合されている構成のものに限定されると解することはできず、シリンダ中の高温燃焼ガスが入り込む隙間が存在する構成も排除されないと解さざるをえない。したがって、作用効果a及びcに係る原告の主張は、本願考案の構成に基づかないものであって、採用できない。
この点について、原告は、本願考案の目的がガスケットにおけるシールの完全化にあることは当然であるから、シリンダ中の高温燃焼ガスがガスケット本体に入り込む隙間を存在させるはずがないことは技術常識に属する旨主張する。しかしながら、ガスケットにおけるシールの完全化を企図することと、シリンダ中の高温燃焼ガスがガスケット本体に入り込む隙間を存在させないこととが一義的に結び付くわけではないし、シリンダヘッド用ガスケットにおいて、上板又は下板を折り返して形成したシリンダ穴折返し部を形成する場合に、上板と下板とを一部重合することが本出願前の技術常識であるという事実を認めるに足りる証拠も存しないから、原告の上記主張は失当である。
また、作用効果bは、シリンダ折返し部と上板又は下板とが1枚の部材によって形成されていることによって奏されることが明らかであるところ、そのような構成は、審決が説示しているとおり、引用例に示唆されているところであるから、作用効果bは当業者ならば当然に予測し得た範囲の事項にすぎないというべきである。
この点について、原告は、グロメットは、本来、ガスケット本体とは別の金属環であるから、引用例において示唆されているのは、ガスケット本体とは別の「グロメット5」と、「表面又は裏面の金属薄板6又は10」とを、接合等によって一体化することであって、一枚物である上板又は下板を折り返してグロメットを形成することではない旨主張する。
検討すると、確かに、甲第4号証によれば、「日本工業規格 自動車用機関のシリンダヘッドガスケット(D 3105)」には、「用語の定義」として、「グロメット ガスケット本体の穴部周囲を覆う、本体とは別の金属環」と記載されていることが認められる。しかしながら、乙第1号証(昭和61年特許出願公開第160549号公報)あるいは第2号証(昭和62年特許出願公開第261760号公報)によれば、ガスケット本体を構成する表面又は裏面の金属板のボア孔の周囲を折り曲げて、グロメットに対応させることは、本出願前の周知技術であると認められる。したがって、当業者ならば、引用例の「グロメット5は(中略)表面又は裏面の金属薄板6又は10と一体とすることも多い」との記載が、グロメットとガスケット本体の金属板とを接合等により一体化することのみならず、ガスケット本体の金属板自体でグロメットを形成することをも意味すると理解できるというべきであって、原告の上記主張は採用することができない。
2 このように、原告主張の作用効果aないしcは、本願考案に特有のものとはいえない。したがって、審決が本願考案の奏する作用効果について明確な認定判断を示さなかったことは、必ずしも適当といえないが、この点が、本願考案の進歩性を否定した審決の結論に影響を及ぼすことがないのはいうまでもないところである。
3 以上のとおりであるから、本願考案の進歩性を否定した審決の認定判断は正当であって、審決には原告主張のような違法はない。
第4 よって、審決の違法を理由にその取消しを求める原告の本訴請求は、失当であるから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
(口頭弁論終結日 平成10年9月8日)
(裁判長裁判官 清永利亮 裁判官 春日民雄 裁判官 宍戸充)
別紙図面A
<省略>
第1図は第一実施例の一部の平面図、第2図は第1図Ⅰ-Ⅰ線断面図、第3図は第一実施例で用いる中板の一部欠截斜視図、第4図は第二実施例の断面図である。
1…上板 2…下板 3、3a…中板 4…折返し部 5…第一ビード 7…被膜層 Hc…シリンダ穴 Hw…水穴 Ho…オイル穴 Hp…プッシュロッド穴
別紙図面B
<省略>
2……ボア孔
4……透孔
5……グロメット
12……芯材
13・14……突条
15……ゴム層
16……表面材